(公民館を取り巻く情勢)
 現在の地域社会は、少子高齢化の進行や人口の社会増減に見られる地域間格差の拡大、ライフスタイルや価値観の多様化等を背景に様々な課題に直面し、住民自治の担い手不足や連帯意識の希薄化が指摘されています。特に、これまでの社会環境の変化等により内在していた孤独・孤立の問題が顕在化するとともに一層深刻化しています。
 また、全国的な行財政改革の潮流の中で公民館を取り巻く状況は厳しさを増し、首長部局への移管や指定管理者制度の導入、施設の有料化など、自治体における公民館の位置づけが多様化してきています。

(公民館が果たす役割)
 公民館は、戦後、荒廃した日本の郷土振興と民主主義の普及を図り、産業や福祉などを含めた総合的な地域づくりの拠点として誕生しました。特に、長野県では住民主体による地域づくりを牽引し、「信州の公民館7つの原則(原点)」として今日まで引き継がれるとともに、人々が豊かに暮らしていける持続可能な地域、災害に強い安心と安全な地域づくりを目指し、その時々の地域課題を捉えた学習を通して、住民自治の向上に努める役割を担っています。
 そのなか、地球温暖化による猛暑や豪雨、地震などによる災害が多発していることや国連が2015年に採択したSDGsの推進が期待されていること、長野県総合5か年計画においてウェルビーイングを実感できる「ゆたかな社会」を目指す基本目標が示されたことなどを念頭に置きながら事業をすすめていくことが必要となってきています。
 また、公民館は新たな複合的な地域課題に対応するため、地域と学校の協働活動推進や学校部活動の地域クラブ活動への移行に向けた環境整備を通して子どもを育む事業を推進することや、地域に存在する社会教育施設並びに行政や大学・企業・NPOなど多様な団体と連携・協働することが求められています。
 さらに、誰一人取り残さず、すべての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた学びの機会を保障し、充実させていくことが重要となってきています。

 長野県公民館運営協議会は、公民館が果たすべき役割を全うすべく、会則第4条及び第5条に則り、県内公民館の連絡提携を図るとともに、公民館活動の一層の振興に努め、もって社会教育の進展に寄与するため、令和7年度の活動基本方針を以下のとおり定めます。
 1 県内公民館の連携に努め、公民館機能が一層強化されるよう支援する。
 2 総会・研修会、資料編纂及び発行等を通じて、公民館同士の情報交換を促進する。
 3 公民館職員としての力量や意識の向上を図る研修機会をつくる。
   ・災害に強い地域づくりの推進に関する研修
   ・SDGsや福祉、伝統文化の継承など様々な分野をテーマに据えた地域づくりに関する研修
   ・ウェルビーイングの実現を支える地域や公民館活動のあり方に関する研修
   ・地域と学校の連携・協働を推進するための研修 など
 4 県内の公民館を取り巻く諸課題について研究し、必要に応じて見解を示す。
 5 その他会則第4条に則った事業を行う。