(公民館を取り巻く情勢)
現在の地域社会は、少子高齢化による人口構造の変化、ライフスタイルの変化や価値観の多様化等を背景に、様々な課題に直面し、住民自治の担い手不足や連帯意識の希薄化が指摘されています。特に、コロナ禍の影響は、私たちの生活を一変させただけではなく、これまでの社会環境の変化等により内在していた孤独・孤立の問題を顕在化、あるいは一層深刻化させました。
また、グローバル化や情報化の進展等により予測困難な時代となりつつある中、一人ひとりが、主体的に向き合い、自己変容(学びを通して多様な他者と協働)していくことが求められています。
さらに、全国的な行財政改革の潮流の中で公民館を取り巻く状況は厳しさを増し、首長部局への移管や指定管理者制度の導入、施設の有料化など、自治体における公民館の位置づけが多様化してきています。
(公民館が果たす役割)
公民館は、戦後、荒廃した日本の郷土振興と民主主義の普及を図り、産業や福祉などを含めた総合的な地域づくりの拠点として誕生しました。特に長野県では、青年団や婦人会の活動を基盤に発足し、行政などと連携・協働する中で、住民主体による地域づくりを牽引してきました。そして、その特質は、「信州の公民館7つの原則(原点)」として引き継がれ、現代においても、人々が豊かに暮らしていける持続可能な地域、災害に強い安心と安全な地域づくりを目指し、地域課題を捉えた学習を通して、住民自治の向上に努める役割を担っています。
例えば、近年たびたび大災害が発生していること、国連が2015年に採択したSDGsの17の目標達成に向け様々なテーマで学習を進めていく必要があること、長野県総合5か年計画においてウェルビーイングを実感できる「ゆたかな社会」を目指す基本目標が示されたことなど、急速に変容を続ける社会にあって、「公民館の果たすべき役割」も変化していくことが求められています。
また、複合的な課題に対応するため、地域に存在する社会教育施設並びに行政や大学・企業・NPOなど多様な主体と連携・協働すること、本県では100%に達している学校と協働して子どもを育てる事業を推進すること、コロナ禍で途切れてしまった分館・自治公民館の活動再開をサポートすることなど、減災やSDGsの目標達成、地域におけるウェルビーイングの実現に向けて、あらゆる人の学習機会を保障し充実させていくことが重要となってきています。
長野県公民館運営協議会は、公民館が果たすべき役割を全うすべく、会則第4条及び第5条に則り、県内公民館の連絡提携を図るとともに、公民館活動の一層の振興に努め、もって社会教育の進展に寄与するため、令和6年度の活動基本方針を以下のとおり定めます。
1 県内公民館の連携に努め、公民館機能が一層強化されるよう支援する。
2 総会・研修会、資料編纂及び発行等を通じて、公民館同士の情報交換を促進する。
3 公民館職員としての力量や意識の向上を図る研修機会をつくる。
・災害に強い地域づくりの推進に関する研修
・SDGsや福祉など、様々な分野をテーマに据えた地域づくりに関する研修
・ウェルビーイングの実現を支える地域や公民館活動のあり方に関する研修
・地域と学校の連携・協働を推進するための研修 など
4 県内の公民館を取り巻く諸課題について研究し、必要に応じて見解を示す。
5 その他会則第4条に則った事業を行う。