(公民館を取り巻く情勢)
新型コロナウイルス感染症の波に翻弄され3年が経過し、感染対策が大きく変わろうとしています。その中で、オンラインの活用など、創意工夫による「学び」の場や感染防止対策を徹底した「集い」の場も復活し、徐々に従来の動きを取り戻しつつあります。
 しかし、地域によっては、度重なる豪雨災害等により、住民生活や公民館施設への影響が今なお続いている場所もあり、早急な復興が望まれています。
 また、少子高齢化による人口構造の変化、生活様式や価値観の変化等を背景に、地域は様々な課題に直面し、住民自治の担い手不足や連帯意識の希薄化が指摘されています。さらに、全国的な行財政改革の潮流の中で公民館を取り巻く状況は厳しさを増し、首長部局への移管や指定管理者制度の導入、施設の有料化など、自治体における公民館の位置づけが多様化してきています。
(公民館が果たす役割)
 公民館は、戦後、荒廃した日本の郷土振興と民主主義の普及を図り、産業や福祉などを含めた総合的な地域づくりの拠点として誕生しました。特に長野県では、青年団や婦人会の活動を基盤に発足し、行政などと連携・協働する中で、住民主体による地域づくりを牽引してきました。そして、その特質は、「信州の公民館7つの原則(原点)」として確認されており、現代においても、人々が豊かに暮らしていける持続可能な地域を目指し、地域課題を捉えた学習を通して住民自治の向上に努める役割を担っています。
 さらに、自然災害やウイルス感染症による影響が続く中、また、急激な社会変動や都市化が進展する現状を踏まえ、「公民館の果たすべき役割」について、常に模索していく必要があります。
 例えば、国連が、2015年に世界共通の目標として採択したSDGsの17の目標は公民館にとっても共通のものであり、その目標達成のための取り組みを進めていくことも必要です。
 また、複合的な課題に対応するため、地域に存在する社会教育施設並びに行政や大学・企業・NPOなど多様な主体と連携・協働すること、学校と協働して子どもを育てるコミュニティスクールを推進すること、コロナ禍で途切れてしまった分館・自治公民館の活動再開をサポートすることなどの役割も一層重要となってきています。
 長野県公民館運営協議会は、公民館が果たすべき役割を全うすべく、会則第4条及び第5条に則り、県内公民館の連絡提携を図るとともに、公民館活動の一層の振興に努め、もって社会教育の進展に寄与するため、令和5年度の活動基本方針を以下のとおり定めます。
1 県内公民館の連携に努め、公民館機能が一層強化されるよう支援する。
2 総会・研修会、資料編纂及び発行等を通じて、公民館同士の情報交換を促進する。
3 公民館職員としての力量や意識の向上を図る研修機会をつくる。特に、
・県内の災害経験を踏まえた、地域づくりに資する研修
・新型コロナ感染症に対応した新しい公民館活動のあり方に関する研修
・コミュニティスクールの推進に資する研修  を実施する。
4 県内の公民館を取り巻く諸課題について研究し、必要に応じて見解を示す。
5 その他会則第4条に則った事業を行う。